FC2ブログ
映画「ハムレット」(2000年)
憎しみが憎しみを呼び、
復讐が復讐を呼ぶ。

シェイクスピアの物語は、基本形はごく簡単。しかし知っておくと他の物語を読むときに、あるいは日常生活のふとした場面に、思わずシェイクスピアの作品を想起してしまう、そういう楽しみが生まれるのです。中でも「ハムレット」はシェイクスピアの代表作中の代表作。主人公・ハムレットは、作品上の架空の人物にも関わらず「デンマーク史上最もよく語られた人」らしいですが、確かに「ハムレット」という映画で僕が確認しただけでも、1911年から2000年まで、実に8回もリメイクされているようです。


今回紹介するのは、イーサン・ホーク主演の最新のハムレット(2000年版)。舞台は現代建築だらけのニューヨーク。「デンマーク社」の会長が死に、弟がその座を継ぐが、謀殺を疑うハムレットは留学先から帰国、という展開です。







シェイクスピア作品の現代アレンジは非常に多く、大胆な作りかえで成功した作品も少なくありませんが、これは舞台や設定を現代に移しながら、セリフや感情表現、ストーリーの流れを極めて古典のまま残す、という、ある意味すさまじく挑戦的なことをやっています。不自然なニュアンスが残ることは否めないですが(ニューヨークでフェンシングの決闘って何だよ、みたいな)、そんなことよりほんの少しの設定の置き換えだけで、シェイクスピアから現代に通じてくる感動が、むしろ遥かに大きく感じられます。


それが、憎しみが憎しみを呼び、
復讐が復讐を呼ぶ、その恐ろしさ。

そして、その後ろにあるのは、
死んだ父へ、信じた母へ、純粋な恋人への愛。


今も昔も変わらない「個人的な現実」を直視した作品、ハムレット。その普遍性を、古典の台本と現代の舞台の「接続」を通して象徴的に表現したような映画でした。


そして舞台は再び現実へ


この映画が作られたのは、2000年でした。
過ちを悲劇で隠し、悲劇を過ちで覆う、人間の哀しい運命を描いた映画。
その舞台は、ニューヨーク。


歴史は、まさにその翌年、同じ舞台でそれを示してしまいました。9.11です。映画関係者はどういう気持ちであの事件を見たのでしょうか。事件後の今、この映画を観終わった後の辛さは、その気持ちと無縁ではないような気がします。




・・・うおおお、やっぱりすごすぎる。「ハムレット」。思い返すだけで涙腺がゆるむ危険物です。取り扱いにはくれぐれもご注意ください。
スポンサーサイト



【2006/03/15 15:00】 映画 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
| ホーム |