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誰がための表現
友人の日記から聴かせていただきました。リストの「ラ・カンパネラ」。いろいろな演奏がCDやら何やらで出ている名曲ですが、この演奏はリアルなお化けです。是非お楽しみください。


(リスト作曲「ラ・カンパネラ」(ピアノ:エフゲニー・キーシン))

凄まじいですよね、この技巧。ただ、この記事では技巧はおいといて、表現についてちょっと思ったことを書きます。

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音楽の難しいところに「間の取り方」があります。音符をどこまで、休符をどれほどといった露骨なところから、微妙な強弱変化やテンポ変化、歌ならイントネーションや個々の子音の発音など、演奏側はたくさんのことを考え、実行する、それが「表現」です。そしてその「表現」を、「間」に変えていく、これがやっぱりプロの技術だと思います。


演奏していると表現にどんどん熱が入っていきます。そして、身体を動かす分、身体自体も熱を発してきます。汗もかきます。キーシンの演奏の熱血ぶりがすさまじいのは十分見て取れます。もちろん、お客さんだってテンションは上がります。身も乗り出して聞くでしょう。でも、ここで演奏者と聴衆では「温度」の上がり方が全然違う。表現は、そこを踏まえて設計しないと、痛々しいことになります。

  • テンポを上げたら速すぎた
  • フォルテッシモが絶叫になった
  • ゲネラル・パウゼ(=全休止)が長すぎた
  • アゴーギク(=テンポ変化)が利きすぎてフレーズが切れた

アマチュアの演奏でありがちな例です。しかし、キーシンの演奏を聴くと、当然ながらそれが微塵も感じられない。なぜか。それは、どれほど自分の熱が上がっていても、観客の熱における「いい演奏」に忠実だからです。大汗をかいたフェルマータ、一息つきたい、しかし、そこで一息つくのは演奏者の熱による要求であって、観客の要求ではない。自らが観客の熱で思い描ける一番いい演奏がうんと具体的であり、そしてその実現に向けて自らの身体欲求さえ超えてしまうような、強烈なエネルギーがあります。

などと書くと、たいそう難しいことのように聞こえますが、例えば、うんと難しい曲があってこれを「難しいからゆっくりやろう」とゆっくり弾いた演奏に感動できるでしょうか。「難しいから」というのは演奏者側の理由であって、聴き手の知ったことではない。聴き手は聴き手側の理想のテンポがあって、そこを汲み取ってもらえない限り感動は無理なのです。


表現も同じ。聴き手には聴き手の要求がある、演奏者はそこに耳を向ける必要があるのです。演奏者だってもともとは聴き手の耳から始まっているはず。なのに、演奏するときだけ演奏者の耳になってしまい、録音をまた聴き手の耳で聴いてみたら、アラアラ痛いことになってるじゃん、って、これではダメなのです。


お客さんに表現を伝えよう、それは大いに結構。でも伝えるべき表現がお客さん仕様のものかちゃんと考えたほうがいいんじゃないかナ、と思う演奏が、大学合唱団など特によくあるような気がします。

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キーシンに話を戻して。

上の動画でも、熱っぽくアゴーギクをかけようと思えばかけられるポイントは沢山あります。でも、そんなところで「お楽しみ」を作らない。大事なところを印象付ける細工をしながら、「その曲全体が作っている熱狂の渦」に引きずりこむ姿勢を絶対に崩しません。


旋律の変わり目が分かりやすいので、改めてチェックしてみると面白いかもしれません。注目すべきは、動画の残り時間でいうと1分30秒前後、1分15秒前後、そしてクライマックス直前の残り30秒前後の、一瞬の惹きつけと強烈なスピード感の対比。「感動するヒマも与えない感動」、これぞプロ中のプロの表現だと思います。


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【2007/04/09 00:55】 音楽 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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コメント
>感動するヒマも与えない感動

ほんとだわ~。聴いてて勉強になりました!
【2007/04/12 00:54】 URL | mk #zYOP5LrY[ 編集] | page top↑
それは何より^^

でも欲を言えばいろんな人のいろんな感想を聞きたいよね。Youtubeの貼り付けは新しい可能性を開いてくれてるから、活かせれば面白いと思うなぁ。
【2007/04/13 13:25】 URL | Toku #m3xkrDMA[ 編集] | page top↑
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