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Whole Hall ~群馬音楽センター
音楽好きなら、やっぱり気になる、コンサートホール。
建築好きでも、やっぱり気になる、コンサートホール。
音楽と建築が好きなら、まさに垂涎の的、コンサートホール。


行ってきました、群馬県高崎市。ここに、「現代建築の父」と呼ばれるアントニン・レーモンドの代表作とされるコンサートホールがあります。それが、群馬音楽センター、群馬交響楽団の本拠地です。


いや、これはすごい。本気でビックリしました。群馬に来た甲斐があったというもの。興奮しまくりました。




こちらが外観。コンクリートがどっしりとした無骨なデザイン。建物が出来たのは1961年。今とはやはりデザインが違う。今の感覚で言えば、「ダサい」と言う人がいてもおかしくありません。これのどこがいいんだ?と思った方、ぜひこの記事をお読みください(笑)
(写真はすべてクリックで大きくなります。ちょっと大きめにしたのでぜひご覧ください。)


「60年代」という叫び


入り口を入るとこんな感じ。コンクリートの梁がむき出しになっています。床もほとんど無彩色、どこか暗く、重々しい。いかにも60年代。





さて、奥に2階に通じる階段が見えると思います。この階段、近くでご覧ください。




コンクリートの「うねり」が、強烈なインパクトを与えてきます。曲面の複雑さにさらに輪をかける、沢山の穴。なんと重々しい。思わず階段を「踏みしめて」上りたくなりませんか?


うねる曲面階段を上って、目に飛び込むのは、これまた強烈な色彩の壁。これはレーモンド自身によるデザインの絵。「オシャレ」「コギレイ」そんな形容詞はここには無縁です。





そして上がりきった、このロビーをご覧ください。




壁面、天井の重々しさをずっと見ながら上がってきて、しかしここで目に飛び込んでくるのはぐっと明るくなった床と、そして左側の全面ガラス張りの窓。そして大空間の心地よさ。天井の高さが1階と全然違います。


建物の中を歩いていて、扉一つ開けていないのに、身体がふっと軽くなる。この感覚は驚きに値します。


そして、窓から外を眺めると、高崎城址の緑の公園。この窓は北側を向いているので、光の明るさを取り込みながら、まぶしくなく、暑くなく、そして景色がきれい。北向きの窓など、住宅では「タブー」、それが、こんなに美しくなる。


1階にはレーモンドの簡単な展示があります。ゲストブックに「猛烈に感動しています!」と学生の書き込みがありました。本当にそう思います。


さて、前の写真に戻って、2階の天井、ハの字の巨大部材が目立ちますよね。それを踏まえて、内観をご覧ください(この写真はパンフレットから読みました)。




実は、中の天井も、全く同じハの字の巨大部材(ちょっと分かりづらいのですが…)。内部の意匠が、そのままロビーにつながる、ホールの延長がロビー、という感覚でしょう。その「つながる」感覚は、こんなところにも見られます。次の写真です。





これは、客席と舞台のちょうど継ぎ目。客席の高さが、そのまま舞台の高さになって、床がつながっています。この席はもちろん、前の内観写真に戻ってもらっても、うんと舞台と客席の間の距離が近いのに気づくはず。建築家のこだわりを感じました。


音響を超えて


ところで、僕はこのホールでは演奏を聞いていないので、音響がいいかどうかは分かりません。ただ、何となくですが、「良さそうではないな」と正直思いました。


だけど、それが何だというのだ。このホールは、シンフォニー・ホールのみならず、バレエ劇場として、一般劇の舞台として、また伝統的な歌舞伎劇場にもなり、ワイド・スクリーンを用いた映画館ともなり得るものとして設計されたようです。ホールといえど、音響と同じくらい大事なこと、無視できないことはたくさんあります。


僕はたとえクラシック専用音楽ホールであっても、音響は一要素にしか過ぎないと思っています。演奏形態によって、曲によって、音響の合う合わないは振り回されてしまう、そんなことだけしか見ないでホールの感想を閉じてしまうのは本当にもったいないと思います。


1階から2階に上がったときの体重の変化。窓から差し込む柔らかな光の「解決」。全体を包む、クラシカルな時代性。ホールから、天井を見ながらロビーに出れば、楽章をまたいで同じモチーフが繰り返されるのを感じたかのような、心地よさ。ホール自体にだって、僕ら一歩一歩の拍子に従って体験する「音楽」があります。


レーモンドの「公共曲」


そして、ホールの歴史を紐解くと、さらに見えてくることがあります。

1960年代。日本中が夢を見ていた頃です。

このホールは、建設費の半分が市の予算、そして足りない分は市民の寄付金によって建てられたのだとか。それだけの費用を投じた敷地は、高崎城址という市民にとって大切な歴史的な地。今では考えられないような、文化への憧れがそこにあります。


だからこそ、レーモンドの設計は経済性にこだわっている。
城址の環境や景観に配慮されている。
そして、市民に愛されている。


大建築家だけの手による作品ではない。市民の手による傑作でもあるのです。


デザインが時代遅れだって、そこに時代の美しさを見つけられる。
音楽の催し物がなくたって、そこに音楽を見つけられる。


ただただ、感銘を受けました。そして受付の人の親切なこと。これだって、大事な「建築」の一要素。


建築は、デザインも大事、用途や機能、性能も大事、だけどさらに政治や経済、歴史との絡みを考えてみるのも実に面白いのです。専門家にならない人こそ、見ようと思えば、知ろうと思えば、いろんな楽しみを見つけられるんじゃないかな。


語彙は表現するためだけのものじゃない。
感じるための語彙がもっともっと欲しいと思いました。



余韻に浸って、最後のおまけ


出口を出たら、こんなものがありました。




ただの電話ボックスでした( ̄〇 ̄;)。


明らかに後付け。アホかと思いました。


と、オチがついたところで今日はおしまい。
楽しんでいただけたら幸いです。読んでくださった方、ありがとうございました。
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【2007/05/15 03:32】 建築・美術 | トラックバック(1) | コメント(4) | page top↑
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コメント
このホール、歌ったことあります!(あべ犬)
確かに音響は(合唱用としては?)悪かったですね。
【2007/05/15 03:58】 URL | やな #-[ 編集] | page top↑
やっぱねww
こんだけ側壁広くて扇形で天井低けりゃw

でもここの人たちからしたら合唱でだって
相当使ってるはずだし、愛着もあるんだろうね。
(あくまでたぶんだけど)
建築ってアイデンティティになりやすい芸術なのかなって思った。
【2007/05/15 13:25】 URL | Toku #m3xkrDMA[ 編集] | page top↑
群馬ネタだ!(笑)いらっしゃいませ。

子どもの頃はあのホールで何度か演奏聴きましたよ。親になんどか連れてってもらいました。懐かしいなあ。でもそんなに偉大なホールだったとは県民ながら知りませんでした!普通のホールとはだいぶデザインが違ってて、当時子どもだった僕には不思議な異空間でした。子ども心をくすぐぐられてましたね。演奏よりもホール自体のほうが印象が強くて、今でもホール自体のほうが記憶に残ってます。というかどんな演奏を聞いたのか思い出せません(笑)
個人的にはあの電話ボックスも好きです(笑)
【2007/05/15 22:44】 URL | せら #-[ 編集] | page top↑
おお、こちらこそいらっしゃいませw

知らなくても無理ないよ、設計者の名前なんて全然文字数とらないのに、この国は観光ガイドにしろ何にしろ出さないからねw

たしかに、この空間は日常見る建物と全然違うよね。そういう記憶があるってすごくうらやましいです。

ついでに群馬でもう一つ挙げておくと、同じく高崎駅から西にバスでちょっと行ったところに群馬県立近代美術館ってのがあって、これも世界に誇る日本の建築家・磯崎新の代表作って言われてる。行こうとしたらアスベスト改修工事でダメって言われたw。

興味があれば、実家に帰ったときでもいつかぜひ☆
【2007/05/16 00:15】 URL | Toku #m3xkrDMA[ 編集] | page top↑
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シンフォニーホールシンフォニーホール(Symphony Hall)は、アメリカマサチューセッツ州ボストンにあるコンサートホールである。世界でもっとも音響の優れたコンサートホールのひとつとして、アムステルダムのコンセルトヘボウやウィーン楽友協会などと並び称される。ボス 『ホール』全国一覧。【2007/07/27 15:10】
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